ブリーダーについて

ペットショップなどで見かける可愛い仔犬や仔猫達。

彼らがそこに辿り着くまでに、交配から繁殖、出産、躾などのサポートを行っているブリーダーという職業に近年人気が高まっているようです。

しかし、ブリーダーとして活躍する為の学校や就職先などはあまり知られておらず、日本でのブリーダーという職業は特別な資格を必要としない為、個人から個人に受け継がれてきた閉鎖的な職業でもあります。

これからブリーダーを目指していきたいという方や、ブリーダーによって手掛けられた動物を家庭用ぺットとして迎えたいという方に、ブリーダーがどのような仕事なのか、どのようなブリーダーが優秀であるのか判断出来るよういくつかまとめてみました。

  1. ブリーダーになるには?
  2. ブリーダーの仕事内容
  3. ブリーダーに向いている人
  4. ブリーダー業のやり甲斐

ブリーダーになるには?

シャワーを浴びる犬

ブリーダーになるにはどのような場所で学び、どのような資格を取得すれば良いのでしょうか?

動物達の世話を始めとし、繁殖を促すといった特殊なお仕事ですが、ブリーダーとして活躍していくには何が必要とされるのでしょうか。

これからブリーダー への道を考えている方へ向けてまとめてみました。

必要な資格

ブリーダーとなる為に必要な資格というものはありません。

学歴や年齢にも決まり事はなく、もちろんですが性別も問われることがないので、誰でもいつからでもブリーダーを目指すことは可能です。

しかしブリーダーという職業に就く為には、数々の専門知識を学び、長年ブリーダーとして活躍している方の経営する会社などで実務経験を経た後に個人で開業するというルートが一般的となっています。

今後ブリーダーとしての開業を考えているという方は、繁殖させた動物をぺットショップなどで販売していくにあたって、動物取扱に関する届け出が必要とされます。

各都道府県によってそれぞれ規制の違いがある為、住んでいる地域の動物愛護管理局などに問い合わせて確認しておくと開業手続きがスムーズに進むでしょう。

専門学校

ブリーダーを目指す方に対応した動物の専門学校がいくつか存在します。

ブリーダーとして扱っていく動物の知識を学ぶことが出来る他にも、動物との触れ合いを通じながら躾をしたり、栄養管理、体調管理などの技術を実践しながら覚えていくことが出来ます。

動物の専門学校といっても学校自体がブリーダー育成に特化しているというわけではなく、ドッグトレーナーや動物看護などのぺットビジネスに重要な専門知識や、開業においての必須資格などを取得するのに特化した専門学校といえるでしょう。

実際に通学が厳しいという方に向けても、通信教育制度を利用してブリーダーとなる為の知識を学ぶことは可能です。

そして、通信教育の過程であっても、動物に関する資格をいくつか取得することも出来ます。

必須資格がなく、どなたでもチャレンジすることが出来るブリーダーという職業ですが、動物の命を扱う職業なので、専門的な知識や実務経験はかなり重要となります。

しかしどんな方にもチャレンジがしやすい分、仕事や子育てをしながらブリーダーとしての教養をコツコツと身に付けていくこともひとつの手段となるでしょう。

ブリーダーの仕事内容

子犬たち

ブリーダーとは、どのような仕事をこなしている職業のでしょうか。

動物達の躾や体調管理となると、これまでぺットを飼育した経験のある方なら想像がつくかもしれませんが、ブリーダーは主にペットショップで販売される前の仔犬や仔猫の繁殖活動を手掛けている為、ぺットの飼育とは若干異なります。

日本ではまだあまり浸透していないブリーダーという職業ですが、一体どのような仕事をこなしているのでしょう。

主に家庭用ぺットの繁殖や品種改良を専門的に行う

ブリーダーとして活躍する人の多くは、基本的に犬や猫などの家庭用ぺットの交配を促し、出産をサポートするといった繁殖活動を手掛けます。

日頃、ぺットショップで見かける血統書付きの動物達のほとんどがブリーダーによって手掛けられ誕生しており、ブリーダーは繁殖をサポートしていく動物に対する豊富な知識があることを前提とするので、誕生する仔犬や仔猫に遺伝子の異常や何かしらの疾患をきたさないよう、交配の相手を選別をするなど、健康に生まれてくる為のサポーターとしての役割を果たします。

日常的な世話や躾などの面倒を見る他にも、繁殖させた動物の販売や展覧会へ参加させることなどがブリーダーの役割りとなります。

また、少数ですが、個人的に自らのぺットを繁殖させ販売するブリーダーや展覧会などに足を運び家庭用ペットの研究を行うブリーダー、異なる種類同士の繁殖を手掛けるブリーダーなど、実質的な世話はもちろんですが専門知識を掘り下げて知識を追求しているベテランブリーダーも存在します。

現在の日本では、他のぺットビジネスと比べてあまり浸透されていない職業ですが、立派な専門職であり、命を扱う繊細なお仕事です。

ブリーダーとして開業するには?

ブリーダーには企業就職という選択肢が少ない為、ブリーダーとして働く多くの人が個人事業主として開業しています。

しかし、専門学校を卒業し開業に必要な資格を取得したとしても、すぐにブリーダーとして生活していくのは難しいようです。

個人事業主として開業する前に、すでにブリーダー業をしている人のサポーターとして技術を磨いていくのが良いとされています。

日常的な世話を中心に、健康に生まれてくるような繁殖活動を促す為の専門的な知識などを実践しながら覚えていくことが個人として活躍していきたいのであれば最も早いルートとなるでしょう。ブリーダーとしての専門的な知識や実務経験を重ねた後に、独立するブリーダーが多いようです。

独立した後の生活

独立の準備期間を終え開業するとなれば、手掛けていく動物が中心の生活となります。

家庭用のぺットのように、一頭や二頭ではなく多頭飼いとなるので、手掛ける動物が多ければ多いほどブリーダーの負担も大きくなるでしょう。

日常的な世話はもちろん、ブリーダーとしての重大な役割である出産のサポートは時間を問わず見守ってあげなければなりません。

手掛ける動物が一頭でも病気にかかってしまった場合は看病をしなければなりませんし、自分の生活よりも動物達の為の動かなければなりません。

そして誕生した動物は、ぺットショップにて販売することがほとんどですが、最近はインターネットなどを通して直接販売するブリーダーも増えているようです。

しかし、販売するまでがブリーダーの仕事ではなく、今後飼い主として引き取ってくれる人に、手掛けた動物の遺伝子や血統による個性や特徴を伝えることもブリーダーとして大事な役割のひとつと言えるでしょう。

動物の命を扱っていく責任と同時に、それぞれの持つ特徴を活かしながら健康かつ優秀な遺伝子を受け継いでいく為の知識を含め、日常的にも気遣いが出来るブリーダーでなければなりません。

飼い主となる消費者やぺットショップなどの業者に安心してもらえるようなブリーダーがこれからも必要とされていくでしょう。

ブリーダーに向いている人

老人と犬

ブリーダーというお仕事をするにあたって、どのような人が向いているのでしょうか。

犬や猫といった動物が好きなことはもちろんですが、それだけではブリーダーとしての役割を果たせるわけではありません。

ここでは、ブリーダーに向いていると思われる人の特徴をまとめてみました。

動物に対して愛情深く接することが出来る人

当然のことのように思うかもしれませんが、動物に対して愛情を注げるかどうかは、かなり重要なポイントとなります。

何故なら、ブリーダーという仕事はトップクラスの優秀なブリーダーでない限りは、あまり収入のいい職業ではない為、過去に犬や猫の飼育経験があったりただ好きだと思う気持ちだけでは長続きしにくいと考えられます。

ブリーダーとして動物達の繁殖を手掛けていくには、餌代はもちろんのこと予防接種などのワクチン代や定期検査代といったかなり高額な費用が掛かってしまいます。

それらに掛かった金額を差し引くと、自身が大事に育てあげた動物がペットショップで売れたとしても、手元に残る金額が少ないことがほとんどです。

売り上げのみを重視するあまり、十分な餌を与えず予防接種のワクチン代を削るなど、とにかく動物に繁殖活動をさせる劣悪なブリーダーもなかには存在するようですが、ストレスのかかるような環境で育てられた動物達や乱繁殖を繰り返した動物達は、仮にペットショップで売れたとしても遺伝子関連のトラブルなどが後を経ちません。

金銭面を気にすることなく、責任を持ってコツコツと動物に愛情を注げる覚悟のある方でないとブリーダーとして活躍していくのは厳しいでしょう。

積極的に行動が出来る人

ブリーダーとして開業するにあたって、基本的には個人で活動していく人がほとんどとなります。

他の専門的な職種とは異なり、学校を卒業した後に就職をして下積み期間を設けながら開業の準備をしていくことが金銭的にも難しいと同時に、命を育てる以上はマニュアルではなく経験者に直接教わるのがブリーダー業界に早く馴染むコツとなる為、積極的に情報収集を行うなど実際に動くことが出来る人が向いていると言えるでしょう。

優秀なブリーダーとして活躍していくにあたって、それぞれの動物の持つ特徴を理解していくにも知識を深め続けていくことが求められます。

誰かが教えてくれるのを待つのではなく、自ら行動し学んでいく姿勢のある人かどうかは重要です。

真面目で気遣いが出来る人

ブリーダー という職業は、飼育する動物を始め、育てた動物を引き取ってくれる人に対しても真面目で誠実であることが求められます。

ブリーダーが飼育していく動物達は毎日面倒を見続けなければならないので、個人でブリーダー として活動している方にとって休みのない重労働となってしまいがちですが、動物達に対して本気で向き合うことの出来る人でない限りは、ブリーダーとしての職業をこなしていくのは難しいでしょう。

自分中心になってしまったり、途中で飼育を放棄してしまうといった無責任なことをしない真面目な人だからこそ、飼い主やペットショップなどの動物の販売業者から信頼を得て成り立つ職業でもあります。

ただ飼育して売るのみではなく、売れた後にも動物達のフォローに対応するなどの誠実さが優秀なブリーダーとなる近道になるでしょう。

ブリーダー業のやりがい

お座りをする犬たち

ブリーダーを目指す方のほとんどが動物好きで、自分が手掛けた動物達が手元を離れていくことは想像するだけでも寂しく思うかもしれません。

しかし、誕生した小さな命が数々の困難を乗り越え、出来ることが増えたり餌をよく食べるようになったりと、たくさんの成長を経て、社会に出て行く姿を見届けることが出来た時にブリーダーは大きなやり甲斐を感じると言います。

ブリーダーの手によって誕生した小さな命は、いずれ親元を離れることとなりますが、限られた時間の中でも、ブリーダーとしてたくさんの愛情を注ぐことが出来るでしょう。

また、ブリーダーのなかにはペットショップの小さなゲージに自分が手がけた動物を展示されることをあまり良く思わないといった場合もある為、そういったブリーダーは、インターネット上にホームページなどのサイトを立ち上げ、飼い主を希望する方と直接取引きを行うこともあるそうです。

飼い主によっては、ブリーダーの手元を離れてからも近況報告などをしてくれる場合もあり、自分の元を離れて飼い手が見つかった後も幸せそうに暮らしている姿を確認出来た時に、ブリーダーは安心するといいます。

そしてブリーダーは、より良い血統を後世に繋ぎ続けるという重要な役割りを果たしていかなければなりません。

自身の手掛けた動物達の成長を見守る過程のなかで、血統や遺伝子の特性が受け継がれていることを確認した時にもまた大きな達成感を味わうことが出来るでしょう。